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こささ歯科こども矯正クリニック

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NEWS

2021.10.13

お口の中は海と島!?唾液からみるお口の中の世界

みなさん、こんにちは!

小児歯科医のヤスです?‍⚕️

みなさん、お口の中でむし歯ができやすい場所、できにくい場所があるのはご存知ですか?

歯ブラシで磨きづらいところはむし歯になりやすいんでしょ?

確かにそれもありますね!ただそれは磨く人のテクニックの問題。もっと根本的にできやすい場所、できにくい場所があります!

今回は歯ブラシではなく、そもそも歯の場所によってむし歯になりやすさの環境の違いについてお話しします。

今回のお話しを聞いてもらえれば、普段の仕上げ磨きの時に注意して磨く部分も分かりますし、

日頃の仕上げ磨きの際にも、「どこを見るべきか?」という目線も身につきますよ?

是非最後まで見ていってださい?

お口の中は大海原と島!?

いきなりですが、みなさん、「自分はお口の中に入ったむし歯菌だ」と想像してみてください。

んーなんか良い気分しないわね

むし歯菌の身長は大体0.5~1.0μm

1μm=0.001mmです

そして、奥歯の縦の長さは大体10mmなので、

歯の長径の1万分の1ぐらいの大きさです。

つまり、150センチの人が直径15キロの距離のある島にいる状態

なので、自分はむし歯菌

歯は島

その周りには唾液という大海原

というイメージですね?

その中で、むし歯菌は大海原を自由に行き来できます

溺れることはない、サーファーみたいな感じ?‍♀️笑

そして居心地がいい島が見つかれば、そこに家(バイオフィルム)を建てて住み着く

そしてお口の中に入ってくる栄養(砂糖など)を取り込んで生活する

こう考えると、むし歯菌のライフスタイルものびのびして良さそうですね。笑

ではここからスタートしましょう!

唾液の洪水が起きやすい場所

むし歯菌が住み着いて、そこで活動(酸を出す)をすると

歯が脱灰(溶ける)し、むし歯ができます

なので、むし歯にとって住みにくい場所を想像してみてください

「めっちゃくちゃ洪水が起きる島」

どうでしょうか?

絶対住みたくないですよね。笑

そのような環境はどこかをみてみましょう!

唾液の量が多くなる場所はお口の中で場所によって異なります。

津波がしょっちゅうくる場所にはむし歯菌も住みつきにくくなります。

津波被害が一番多いのは

下顎前歯の裏側(舌側)

なんですね。

ここは唾液による緩衝が一番大きいと言われています。

なので、ここにはなかなかむし歯菌が住み着けない。

住んでも唾液によって流されるので、酸を出すのも難しいです。

一方、一番津波が起きにくく、むし歯菌にとっては穏やかな海のさざ波レベルは

上顎前歯の表面(唇側)

です。

ここでは、むし歯菌はビーチで寝そべって、さざなみを眺めているかもしれません。

これらの両者の部位の、唾液が流れる力にどれだけ差があるかという実験では

下顎前歯の舌側は、上顎前歯の唇側よりも5倍あったとの報告もあります。

イメージとしては1メートルの波が5メートルになるような感じでしょうか

もう台風とか嵐のレベルね

そして、歯の部位によっても津波が起きやすいポイントは変わってきます。

同じ島でもサーフィンのスポットがあるような感じです?‍♀️

例えば、上顎よりも下顎の方が唾液の作用が起こりやすいです。津波が起きやすい。

そして、

頬側(表面、ほっぺた側)よりも舌側(裏面)の方が唾液はよく作用します。

なので、下顎の前歯の舌側は唾液がよく作用するんですね。

また、唾液の津波の方向にも違いがあります。

歯とほっぺたの間の海には前の方向(口先へ向かう方向)に流れ、

歯の舌側側の海では後ろの方向(喉に向かう方向)に流れる傾向があります。

これは「唾液の海流」というような感じでしょうか

唾液の作用も場所によって変わってくる!

唾液の津波っていう表現が面白いわね。実際にあったら気持ち悪いけど

唾液の「質」も場所によって変わってきますよ!

唾液は唾液腺という場所で作られ、管を通ってお口の中に出てきます。

そして唾液腺は大きいもので3種類あります。

耳下腺(耳の下にある)、顎下腺(下顎にある)、舌下腺(舌の下にある)

です。

そして唾液には「緩衝能」という

口腔内の環境を中性に戻すという素晴らしい機能があります。

これは食事やお菓子、ジュースで酸性になったお口の中を中性に戻して、

歯の脱灰(溶ける)を防いで、修復する作用ですね。

各唾液腺から出る唾液にはその緩衝能に違いがみられ、

顎下腺の方が高い

という実験結果がありました。

場所は

耳下腺は上の奥歯のほっぺた側に

顎下腺は舌の下にあるので、

この結果から下の歯の方が緩衝能が高い唾液が出やすいのです。

つまり、下顎の方がむし歯菌が生活しづらい波が押し寄せてきます。

この点からも上よりも下の方がむし歯にはなりにくい環境といえます。

まとめ

どうでしょうか!?

唾液の大海原、そして津波、想像できましたか?

唾液は歯を守ってくれる、本当に素晴らしい機能を持っています。

それが作用しやすい場所は

上顎よりも下顎

ほっぺた側(頬側)よりも裏側(舌側)

です。

そして唾液の作用という観点では、一番むし歯になりにくいのは

下顎前歯の舌側

なりやすいのは

上顎前歯の唇側

です。

なので、もし、下顎前歯にむし歯ができる子というのは

唾液の大津波でもむし歯が住み着いて酸を出せる

環境なので、かなりむし歯リスクが高い子かもしれません

そのような時はおおよそ食習慣が関わってきますので、

歯医者さんに相談をしましょう!

そして、最後に

この素晴らしい唾液の作用が効きにくい環境が

お口の中の乾燥

です。

つまり口呼吸などですね

こうなるとむし歯菌にとっては快適な空間がどんどん増えてしまいます

お口を閉じて、しっかりと噛んで唾液を出して

お口の中を常に潤してあげることは非常に重要です

是非そのようなところも見てあげてください?

それでは今日はこの辺で!

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