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乳歯について知ろう!
みなさん、こんにちは!
京都市北区、北山にあります小佐々歯科診療所の副院長の康です?⚕️
今日は歯科知識の基礎編として「乳歯(にゅうし)」についてお話したいと思います。
「乳歯は永久歯のただの小さいバージョンなんでしょ?一緒じゃないの?」と思っておられる方は多いのではないでしょうか?
実はそうではなく、乳歯は永久歯とは違う特徴がたくさんあります。
「下から永久歯が生えてくるから、多少むし歯になってもいいや」
と思っている方!それは注意が必要です。
乳歯でむし歯になるということは、むし歯になるリスクを抱えたまま永久歯を迎えるということです。
むし歯のところにはむし歯菌が大量に潜んでいます。
なので、乳歯にむし歯がある状態で永久歯を迎えるのは、永久歯をむし歯菌にさらしているようなものですね!
乳歯を大事にすることから将来の健口な状態ができあがってきます。
そして、そのためには乳歯の特徴をまず知っておきましょう!
乳歯のことを詳しく知ることで予防がしやすくなると思います?
乳歯に対する考え方が変わることで日々のケアも変わってくるはずです。
是非最後まで読んでみてください!
乳歯の名前
まずは名前からです
ここはサラっといきましょう!1個1個覚える必要はありません。
- A:1番前の歯(乳中切歯)
- B:2番目の歯(乳側切歯)
- C:3番目の歯(乳犬歯)
- D:4番目の歯(第一乳臼歯)
- E:5番目の歯(第二乳臼歯)
前から順番にAからEです
これが上下左右の4ブロックにあります(合計5本×4ブロック=20本)
「右上A」というと、「右上の一番前の歯」
「左下D」というと、「左下の前から4番目の歯」
こんな具合です!
歯医者さんで
「この子の右上Aがむし歯のような気がして…」とさらっと言うと、こちらも「ぴくっ」となります。笑
これ以降はこのA〜Eを使っていきますね。
もし「?」となった場合は何回か見返してみてください。
乳歯の生え方
次に、乳歯の生える順番と時期をある程度理解しておきましょう!
ただし、これには個人差があります
この基準から外れているから異常だということは必ずしも言えません。ある程度の基準として知っておいてください。
もし、「少し変だな?」と思う時は一度歯科医院でみてもらってくださいね
生える順番(日本小児歯科学会:1988)
A → B → D → C → E
AとE以外は上が下よりも先に生える
- 生後9ヶ月(±2ヶ月):前歯(A→B)が生え始める
- 生後12ヶ月(±2ヶ月):乳犬歯と第一乳臼歯(D→C)が生え始める
- 生後18ヶ月(±2ヶ月):上下の前歯が4本ずつ生えそろって、前歯でかむことができる
- 2歳(±4ヶ月):第二乳臼歯(E)が生え始める
- 3歳(±4ヶ月):上下10本ずつ生えて、乳歯列が完成!
(引用:日本小児歯科学会)
男女差はそこまで大きくはありません
ここでチェックしてほしいことは
- 左右の同じ歯で大きく差はないか?(上下の差はある程度あります)
- 歯の数はあっているか?
などです。
たとえ異常がなくても、定期的な歯科の検査とお掃除は必要ですので、まだかかりつけの歯医者さんがおられなければ、まずは一度みてもらいましょう!
乳歯の構造
乳歯の構造も少し理解していただけると管理する上で役立つと思います
まず、歯はざっくり言うと3層構造です(これは永久歯も一緒!)
一番外側から内側に向けて
エナメル質 → 象牙質(ぞうげしつ) → 歯髄腔(しずいくう)
・エナメル質:めっちゃ硬い一番外側の層。歯の鎧。むし歯になってもここでとどまっていれば、歯を削らなくても再石灰化のチャンスあり
・象牙質:やわらかい。歯の皮膚。ここまでむし歯が進行したら削ってとる。
・歯髄腔:歯の心臓。神経や血管がつまっている。ここまでむし歯が進行すれば、むし歯菌は歯髄腔をスルスル~と移動して根の先っぽで感染を起こす。
※細かくみるともっとありますが、今はこれだけ覚えてください
イメージできましたか?
では永久歯と比べると!
- 乳歯のエナメル質(鎧):永久歯の1/2の厚さ
- 乳歯の象牙質(皮膚):永久歯の1/2の厚さ
- 乳歯の歯髄腔(心臓):永久歯より(相対的に)大きい
こんな感じです!乳歯の心臓は外側から近い!!
なので、ここで仮にむし歯菌から酸攻撃があって、どんどん鎧を溶かしていくと
永久歯よりも乳歯の方がすぐに心臓に到達してしまいやすいのです
そしてなによりエナメルの鎧(ドラクエにありそうですね。笑)の守備力が弱いんですね
鎧の厚みに加えて、質にも問題があります。
・エナメル質の酸の溶解性が高い
・気孔(ちっっちゃい穴)が多い
・石灰化度(硬さ)が低い
など、これはもうエナメルの鎧というよりも、エナメルのエアリズムみたいなものです。通気性抜群!服にとっては良いことですが、守ってほしい鎧に関しては良くないですよね?
なので、乳歯は一度むし歯になると進行が早いと思ってください!
以上の乳歯の特徴からも小児歯科は特に予防が大切なんですね
定期的なチェックとお掃除、フッ素を歯科医院でしてもらってくださいね
エナメル質を強くしよう!
生えてきたばかりの歯というのは、まだ成熟しておらず、エナメル質はやわらかい状態です。
生えてきてから唾液中のミネラルを取り込むことで、だんだんとエナメル質が硬くなっていきます(「萌出後成熟」と言います)
その時にフッ素を活用してもらっていれば、しっかりと丈夫な歯に成熟していきます。
より守備力が高い鎧を作る上でも、萌出後にフッ素を触れさせることは有効です!
永久歯の歯並びを支える大事な乳歯
「むし歯になってもまた生え変わるから放っておいてもいいですよねー」
とおっしゃる方がいらっしゃいますが、これは絶対にダメです?♂️
乳歯の歯列がしっかりと安定していることで、それを基盤に永久歯が生えてきます
歯と歯の間でむし歯になって放っておけば、どんどん歯は溶けて歯と歯の間は狭くなってしまいます。
また、大きなむし歯で、根の先までむし歯菌が移動し、そこで感染を起こして放っておくと
その下に控えている永久歯の方向が変わったり、歯の色や形が変わってしまう可能性もあります。
なので、乳歯の時から永久歯の環境作りは始まっています。
「乳歯だからいいや!」ではなく、
「将来のためにも乳歯を大事にしておこう!」という意識で日頃のケアをしてあげてください?
まとめ
乳歯について理解が深まりましたか?
日頃磨いていただいている中でも、
「そろそろここの歯が生えてくるな」
「あ、この歯は生えたてだからフッ素でしっかりと磨いてあげよう」
など、ちょっとした理解が管理力のアップと成長の楽しみになると思います?
ではまとめておきますね!
- 生える順番はA → B → D → C → E
- 生えるスピードは個人差あり!左右差に気をつけよう!
- 乳歯はむし歯になりやすく、進行しやすい
- 生えたての歯はフッ素で強くしよう!
- 乳歯を大切に!
以上です!
またもしわからないことがあればコメントください?
では今日はこのへんで!